
沢木耕太郎と言えば誰もが「深夜特急」を思い出すかもしれませんが、私はこの作家の「世界は『使われなかった人生』であふれてる」という映画レビュー本も、タイトルからして大好きです。
この著書の中で沢木耕太郎も「久しぶりに上出来な”映画の時間”を与えてくれた」と語っているこの作品を紹介します:
「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(My life as a dog)
「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレム監督がまだ無名時代に本国スウェーデンで製作した作品。
スウェーデンの小さな町で暮らす12歳の少年イングマルの毎日は、兄にいじめられ、出稼ぎに行った父は戻らず、母は病気、と悲しいことテンコモリ。 母の病状が悪化し、イングマルは愛犬シッカンを犬の保育所に泣く泣く預け、叔父の住む田舎の村に一人ぼっちで預けられることに。
そこで少年のような風貌でガキ大将の美少女サガや、一風変わった村の人々との交流が、孤独なイングマルの心をゆっくりと癒していき・・・。
登場人物はすべて平凡で、ちょっと可笑しくて、心優しい人達。これは「年間3本くらいしか映画館では映画を観ません」なんていう、映画にあまり興味無い方でも、間違い無く心温まる作品です。
この作品は以下の方に漏れなくオススメ:
1.犬を飼っていたし、大好きだし、友達だって思える人
2.子供の頃、家族がバラバラになったりした経験のある人
3.「ギルバート・グレイプ」、「スモーク」、「アラバマ物語」のどれか一本、または全作、好きな人
4.悲しいことがあっても、些細な出来事の中に「笑い」や「小さなシアワセ」を見つけながら生きていたい!・・・に同感な人
5.ちょっとしたことで傷ついたり、孤独感を感じやすい人
6.観たら癒されて幸せな気持ちになれる映画を今、まさに観たい人
この映画の中で主人公イングマルは、現実がどうしても悲しかったり辛かったりして耐え難くなると、両耳を手でふさいで大声で「きーーーっ」と叫んだりします。
(「きーーーっ」は私の専売特許かと思っていたら、先駆者がいました。)
そんな風にしか現実から逃れる術を知らなかった孤独な少年が、心優しい人達との交流を通して、だんだんしっかり現実を見つめていけるようになる姿を、スウェーデンの白い美しい風景の中で描いているので、なんだか観終わった後に北欧に旅してしまいたくなる映画でもあります。
余談ですが、あることを始めて丸一年経ちました。一年の間に自分は何を出来たんだろう?と意味不明な「成果」ばかりを求めてあせってしまうことが時たまありますが、別にのんびりと一年が過ぎていくことの方が、実はとても幸せなことだったりしますね。この映画も一年のそんなゆっくりした時間の流れを描いています。
イラストは主人公のイングマルと少年のような女の子サガを、絵本みたいな感じに描いてみました。
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