
昨日は早朝から玄関のベルが鳴り、宅急便が届きました。
「ついにRadioheadのDISC BOXがUKから到着?!」と喜んだら、実家の母から食べ物が届いただけであることが発覚。うーん、合掌。
ところが外出して帰宅した午後、再び荷物の配達が!
2ちゃんねらーの方でしたら、ここで「神、キターーーーー!」とアスキーアート付で書いてみるところでしょうか?
届いたDISC-2も聴き込んだところで、このアルバムのDisc-1についてのレビューを綴ってみようかと思います:
Radiohead ”In Rainbows”
2007年10月10日、専用サイトによるダウンロード販売という形式で緊急リリースされた、Radioheadの通産7枚目のオリジナルアルバム。 楽曲の良さ、演奏のクオリティの高さなど、完成度の高さは期待通り。
2007年度のアルバム ベスト10を選べと言われたら、間違いなく私も"In Rainbows"をトップ3の中にセレクトするでしょう。その意味では「相対評価」という観点では、悪くない、いえむしろ傑作です。
ところが、「絶対評価」という視点でこのアルバムを聴くと、微妙な気持ちが芽生えました。
「ロックとしての」Redioheadに自分が求めるものが、どこか足りない印象を受けたから。
このアルバムはこんな方にオススメ:
1.人がなんと言おうと、「でもやっぱりRadioheadがアルバムを出す限りは聴き続けるぞ!」と宣言したい人 (はい、私がそうです。)
2.トムのソロ
"The Erasure"が実はRadioheadの過去6作よりもお気に入りな人
3.シガー・ロスはインパクトには欠けるけど、聴くと中毒になると思う人
4.意外とThe Cureを聴き直してみると刺さると思う人
5.村上春樹の小説では「ねじまき鳥」より「スプートニクの恋人」の方が好みな人
6.SF映画では「ブレードランナー」よりも「2001年宇宙の旅」の方がピンと来る人
7.「ギターロック」よりも「踊れるロック」の方がより好きな人
社会学者の南田勝也氏の著書に「ロックミュージックの社会学」という興味深い本があります。
「ロックとはこうあるべきだ」なんてつまらないことは論ぜず、「なぜ人はロックに意味があると思えるのか」というテーマを社会学的に検証したこの本では、ロックを「アウトサイド指標」「アート指標」「エンターテイメント指標」という3本軸から分析しています。
Radioheadはデビューからたった3枚でこの3つの指標をクリアしてしまった気がします。
「僕はCreepで最低」「僕はジム・モリソンになりたい」なんて歌詞が満載の
"Publo Honey"はまさに「アウトサイド指標」から生まれたアルバム。
キャッチーでどこまでも美メロを聴かせる"The Bends"は、シニカルな詞の数々とは裏腹に「エンターテイメント指標」から見ると、ただのインディーバンドからメジャーな評価を得るにふさわしい成長を遂げた作品。
そして「アート指標」的魅力炸裂の
"OK Computer"。
その後"KID A"でトム・ヨークの本意とは裏腹に、Radioheadは「時代を越えた神」的バンドとしてリスナー(というか信奉者達)から位置づけられてしまったような。
"In Rainbows"は「神」的に信者達の期待に応えるスタンスから降りて、トムが「人」に戻り、「自分」の趣味や心地良さを追及して作り上げた音なのかもしれません。
これは3つの指標のどこにも属さない第4の指標、「趣味追求指標」とでも称したら良いのでしょうか?
「他者(=リスナー)」からの雑音を超越して、自分の時間を大事にしたような音作り。
だからこのアルバムはセンスの良いアイテムが揃ったセレクトショップ的で、とても聴きやすい。
その代わりに、ロックに少しだけ、「他者」を超越したいけどしきれないジタバタ感(なんだ、それ?)を感じたい自分にとっては、物足りなさを感じたのかもしれません。
さて、せっかくなのでDISC-2の感想も。こちらの方が正直、ロックのキリキリ感が感じられて、イメージは映画に喩えればレオス・カラックスの
「POLA X」といった印象で私好み!DISC-2はこんな方にオススメ:
1.
ジェフ・バックリィの"Hallelujah"が好きな人
→ こちらで視聴できます:
Jeff Buckley “Hallelujah”2.JOY DIVISIONの"Isolation"のビート感とひずんだギターがストライクな人
3.キング・クリムゾンの"Starless"は尺が長過ぎるけど、名曲だと思う人
イラストはトム・ヨークは既に4枚も描いているので、Radioheadメンバー全員揃い踏みの1枚に初挑戦してみました。ちなみに初めて"Creep"のPVを14年前に観た時の私の感想は:
「ギタリストが三人いると、一人は轟音鳴らしまくりでも許されるのね。」
ロックの社会学的分析の3本軸「アウトサイド指標」「アート指標」「エンターテイメント指標」,妙に納得してしまいました。確かにレディオヘッドは最初の3枚でこれをクリアしてしまいましたよね。歴史上の優れたロックバンドはこの条件をすべてクリアしているバンドなのかもしれません。残念ながらレディヘの新作はまだ聴いていないのですが,かなり聴きやすい1枚のようですね。今年のベストアルバムに間に合わなかったのが少し心残りではあります。