
「作品としての完成度は高いけど、後味が悪過ぎて二度と観たくない映画ランキング」があったら、私の中で間違いなくランクインする作品の一つが「セブン」。
その「セブン」の監督、デヴィッド・フィンチャーの新作なので「どうよ?」くらいの気持ちで観たら、意外にもかなり骨太な作品で“買い”でしたので紹介します:
「ゾディアック」(ZODIAC)
→ 公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/zodiac/1969年、“ゾディアック”と名乗る謎の男による連続殺人が起こり、犯人は事件の詳細を書いた手紙と暗号文を新聞社に送りつけ世間を恐怖に陥れる。 この事件を追う4人の男達〜 新聞記者ポール・エイヴリー(ロバート・ダウニーJr)、同僚の風刺漫画家ロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)、刑事のデイヴ(マーク・ラフォロ)とビル(アンソニー・エドワーズ)〜 は、やがて正体が見えないゾディアックに翻弄され、人生の歯車を狂わされていき・・・。
あのハードボイルドの名作「ダーティ・ハリー」もこのゾディアック事件をヒントに作られたんですね!
「ダーティ・ハリー」と違って事実に忠実にドキュメンタリータッチで描いた本作は、ネット上では「長過ぎる」「退屈」といったマイナス評価もあるようですが、わたし的には☆4つ献上。見応えがあり◎です。
本作はこんな方にオススメ:
1.「大統領の陰謀」「ジャッカルの日」のような骨のある社会派タッチの映画が好きな人
2.普段、テレビはほとんど観ないのに、報道関係の特集番組は熱心に見入ってしまう人
3.小説でも映画でも実話ベースの作品では、事件そのものよりも事件周辺の「人間ドラマ」を描いた作品に関心が高い人
4.浦沢直樹の「モンスター」を読んで、犯人ヨハンを追う天馬先生に自分を投影してしまった人
5.人の心の裏側に潜む「闇」に興味がある人
6.ロバート・ダウニーJrが助演の映画にはアタリが多い!に一票の人
事件の真相を知りたいあまり、ゾディアック探しにハマっていく漫画家ロバート・グレイスミスが、なぜそこまでゾディアックに執着するのかと妻になじられた時に
「ただ犯人の顔を見て目をじっと覗き込みたいんだ」と答えるシーンを見て、乙一の「GOTH」という小説を思い出しました。
乙一は「きみにしか聞こえない」という映画の原作者として最近、話題ですが、「GOTH」の主人公の男女は一見、どこにでもいる普通の高校生だが、実は心に闇を抱え人間の残酷な面を覗きたがる本能を持つという展開。そんな本能から殺人鬼の足跡を辿るうちに、猟奇殺人の裏側に巻き込まれる「GOTH」の主人公達と「ゾディアック」のロバート・グレイスミスがだぶって見えました。
人は誰でも、善悪のモノサシや正義感とはまた別のところで、「闇」や真実を知りたい、解明したいという衝動に駆られる要素が少なからずあるのかもしれません。
イラストは事件に翻弄された男4人のうちの3人を描いてみました。
バックをちょっと木目の掲示板みたいな感じに仕上げたところが、一応、こだわりどころです。
http://okapi.at.webry.info/200808/article_1.html
>長い
見た目の刺激がなければ退屈するようでは、修行が足りませんや(笑)。
実際、関係者を悩ました時間の長さを感じさせる為に、最低限必要な長さだったような気がします。
アメリカでは殺人に時効がないので、今作る意味も十分にあります。従って、映画に明確な結論がなくても、実社会でその後が語られる可能性がある。そう思ってみるとこれは実に面白い作品ですね。
>「ジャッカルの日」
素晴らしい作品でしたね。
フレッド・ジンネマンは、ハリウッド的な甘さに生涯逃げなかった尊敬すべき監督です。^^